平成30年1月29日
阿蘇市農業委員会
基本的な考え方
農業委員会等に関する法律(昭和26年法律第88号。以下「法」という。)の改正法が平成28年4月1日に施行され、農業委員会においては「農地等の利用の最適化の推進」が最も重要な必須事務として、明確に位置づけられた。
阿蘇市に於いては、平地と中山間が混在しており、それぞれの地域によって農地の利用状況や営農類型が異なっており、地域の実態に応じた取り組みを推進し、それに向けた対策の強化を図ることが求められている。
特に、中山間では、外輪山の高冷地に農地を有し、露地野菜・施設園芸・畜産が盛んであるが、遊休農地の発生が懸念されていることから、その発生防止・解消に努めていく一方、平地ではカルデラ内の平坦地で水稲・施設園芸・畜産が盛んなことから、担い手への農地利用の集積・集約化に於いては、農地中間管理事業を活用しながら取り組んでいく必要がある。
以上のような観点から、地域の強みを活かしながら、活力ある農業・農村を築くため、法第7条第1項に基づき、農業委員と農地利用最適化推進委員(以下「推進委員」という。)が連携し、担当区域ごとの活動を通じて「農地等の利用の最適化」が一体的に進んでいくよう、阿蘇市農業委員会の指針として、具体的な目標と推進方法を以下のとおり定める。
なお、この指針は、「農林水産業・地域の活力創造プラン」(平成25年12月10日農林水産業・地域の活力創造本部決定)で、「今後10年間で、担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造の確立」とされたことから、それに合わせて平成35年を目標とし、農業委員及び推進委員の改選期である3年ごとに検証・見直しを行う。
また、単年度の具体的な活動については、「農業委員会事務の実施状況等の公表について」(平成28年3月4日付け27経営第2933号農林水産省経営局農地政策課長通知)に基づく「目標及びその達成に向けた活動計画」のとおりとする。
具体的な目標と推進方法
遊休農地の発生防止・解消について
1.遊休農地の解消目標
管内の農地面積 (A) |
遊休農地面積 (B) |
遊休農地の割合 (B/A) |
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現状 (平成29年度) |
9,390ha | 17ha | 0.2% |
3年後の目標 (平成32年度) |
9,328ha | 14ha | 0.2% |
目標 (平成35年度) |
9,267ha | 11ha | 0.1% |
注1:「新・農地を活かし、担い手を応援する全国運動」の運動目標に基づき、遊休農地の面積及び割合は、「ゼロ」を目標としている。
注2:農業委員会の区域内の遊休農地の発生状況が地域(平地農業地域、中山間地域等)によって著しい相違があるときは、当該地域ごとに記述する。
2.遊休農地の発生防止・解消の具体的な推進方法
(1)農地の利用状況調査と利用意向調査の実施について
- 農業委員と推進委員のチーム制による農地法(昭和27年法律第229号)第30条第1項の規定による利用状況調査(以下「利用状況調査」という。)と同法第32条第1項の規定による利用意向調査(以下「利用意向調査」という。)の実施について協議・検討し、調査の徹底を図る。それぞれの調査時期については、「農地法の運用について」(平成21年12月11日付け21経営第4530号・21農振第1598号農林水産省経営局長・農村振興局長連名通知)に基づき実施する。
なお、従来から農地パトロールの中で行っていた、違反転用の発生防止・早期発見等、農地の適正な利用の確認に関する現場活動については、利用状況調査の時期にかかわらず、適宜実施する。 - 利用意向調査の結果を踏まえ、農地法第34条に基づく農地の利用関係の調整を行う。
(2)農地中間管理機構との連携について
- 利用意向調査の結果を受け、農家の意向を踏まえた農地中間管理機構への貸付け手続きを行う。
担い手への農地利用の集積・集約化について
1.担い手への農地利用集積目標
管内の農地面積 (A) |
集積面積 (B) |
集積率 (B/A) |
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現状 (平成29年度) |
9,390ha | 879ha | 9.4% |
3年後の目標 (平成32年度) |
9,328ha | 1,056ha | 11.3% |
目標 (平成35年度) |
9,267ha | 1,233 ha | 13.3% |
注1:「農林水産業・地域の活力創造プラン」の政策目標に基づき、担い手への農地利用集積率は80%を目標としている。
注2:農業委員会の区域内の農地利用集積目標が地域(平地農業地域、中山間地域等)によって著しい相違があるときは、地域ごとに記述する。
2.担い手への農地利用の集積・集約化に向けた具体的な推進方法
(1)「人・農地プラン」の作成・見直しについて
- 農業委員会として、地域(1集落又は数集落)ごとに人と農地の問題解決のため、「地域における農業者等による協議の場」を通じて、認定農業者等を地域の中心となる経営体と位置づけ、それぞれの農業者の意思と地域の資源に照らした実現可能性のある「人・農地プラン」の作成と見直しに主体的に取り組む。
(2)農地中間管理機構等との連携について
- 農業委員会は、阿蘇市、農地中間管理機構、農協等と連携し、(ア)農地中間管理機構に貸付けを希望する復元可能な遊休農地、(イ)経営の廃止・縮小を希望する高齢農家等の農地、(ウ)利用権の設定期間が満了する農地等についてリスト化を行い、「人・農地プラン」の作成・見直し、農地中間管理事業の活用を検討するなど、農地の出し手と受け手の意向を踏まえたマッチングを行う。
(3)農地の利用調整と利用権設定について
- 管内の地域の農地利用の状況を踏まえ、担い手への農地利用の集積が進んでいる地域では、担い手の意向を踏まえた農地の集約化のための利用調整・交換と利用権と利用権の再設定を推進する。
また、中山間地域等の農地の区画・形状が悪く、受け手が少ない又は受け手がいない地域では、農地中間管理機構による簡易な基盤整備事業の活用と併せて集落営農の組織化・法人化、新規参入の受け入れを推進するなど、地域に応じた取り組みを推進する。
(1)農地の所有者等を確知することができない農地の取扱い
- 農地の所有者等を確知することができない農地については、公示手続を経て熊本県知事の裁定で利用権設定ができる制度を活用し、農地の有効利用に努める。
新規参入の促進について
1.新規参入の促進目標
新規参入者数(個人) (新規参入者取得面積) |
新規参入者(法人) (新規参入者取得面積) |
|
現状 (平成29年度) |
5人 (2.5ha) |
1法人 (0.5ha) |
3年後の目標 (平成32年度) |
5人 (2.5ha) |
1法人 (0.5ha) |
目標 (平成35年度) |
5人 (2.5ha) |
1法人 (0.5ha) |
注:新規参入については、現状の担い手農家等の数や遊休農地の発生状況等を考慮しながら、農業委員会の区域内で必要な経営体数を試算する。
2.新規参入の促進に向けた具体的な推進方法
(1)関係機関との連携について
- 都道府県・全国の農業委員会ネットワーク機構、農地中間管理機構と連携し、管内の農地の借り入れ意向のある認定農業者及び参入希望者(法人を含む。)を把握し、必要に応じて現地計画や相談会を実施する。
(2)新規就農フェア等への参加について
- 阿蘇市、農協等と連携し、新規就農フェア等に積極的に参加することで情報の収集に努め、新規就農の受け入れとフォローアップ体制を整備する。
(3)企業参入の推進について
- 担い手が十分いない地域では、企業も地域の担い手になり得る存在であることから、農地中間管理機構も活用して、積極的に企業の参入の推進を図る。
(4)農業委員会のフォローアップ活動について
- 農業委員会の区域内において高齢化等により農地の遊休化が深刻な地域について、農地の下限面積に別段の面積を設定して新規就農等を促進する。
- 農業委員及び推進委員は、新規参入者(法人を含む)の地域の受入条件の整備を図るとともに、後見人等の役割を担う。